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少子社会日本
−もうひとつの格差のゆくえ
山田昌弘著(岩波新書・740円税別)
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06年の合計特殊出生率が、過去最低だった05年の1.26を0.06上回り、1.32に上昇したことが昨日、厚労省より発表された。上昇の要因は、景気回復であると厚労省は分析しているようだ。
「パラサイト・シングル」や「希望格差社会」を世に広めた著者は、日本社会の少子化の主因は、「若年男性の収入の不安定化」と「パラサイト・シングル現象」の合わせ技だと論じている。
そして、子どもを持つためには、「お互い結婚したいと思う相手に出会うこと」と「子どもを育てるのに十分な経済力があること」の条件が必要であるにも関わらず、魅力格差と経済格差の事実を認めてこなかったため少子化対策が遅れたと…。
また、若者の経済状況の悪化によって、若者の「希望」が削がれ、その結果「結婚や子育てに希望が持てない」若者が大量発生している。
ここまでの分析については、納得できる。しかし、最終章での少子化対策については、4つの施策を論じてはいるが、少し物足りない感じがした。
暴言ではあるが、「子どもを持たない人には年金の支給額が減額される」ぐらいの具体的な施策を提唱していただきたかったが、社会学者にはそこまでは無理か、というよりそこまで言及する必要がないのだろう。
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